――立川技術専門校園芸科で学ぶ町田市・山本弘義さん(56歳)――

 いずれ停年を迎える団魂の世代、あるいはそれに近い若い世代の人たちの間に、 心の準備としてではなく、趣味ではなく、ボランティアとしてではなく、新しい仕事として、 新しい生き方として手職をつけようとする人が増えています。
 しかもその人たちの多くは少年時代になりたかったが、あきらめてサラリーマンに なってしまった人、あるいは趣味として遊んでいたものを本物にしたいという夢を 持つ人たちです。
 「エルダーへの教室」はこれらの人たちに、サラリーマンとしての人生、これからの人生の 選び方、生活設計を生き方論として徹底的に語ってもらいます。

 神奈川県の町田市にお住まいの山本さんは現在56歳。既に2人の娘さんを片づけ、奥様とお二人、いわば悠悠自適といっても差し支えない生活をされている。
 その山本さんが今年2月、ここ都立立川技術専門校の園芸課に入学、毎日9時から4時30分まで、立ち木の剪定や植木の植え替えなど、慣れない作業に没頭しているのにはなみなみならぬ思いがある。
「これまでの30年間、私は外資系の電子機器メーカーでシステムエンジニアを勤めてきました。もともと植木いじりなどに親しんでいましたので、もし、退職するようなことになったら、庭木いじりや園芸といった、電子技術関係とは無縁の仕事につきたいものだと考えていました。というのも、多分、他の会社に就職するようなことがあっても、これまでやってきた以上の仕事はできないだろうという考えがあったからです」。
 外資系の会社を退職したのは3年前。当時から、仕事の合間を見つけては、園芸会社や造園会社、植木屋さんなどを訪ね、就職の準備を進めていたという。
「でも、植木バサミの使い方はおろか、鍬の使い方、土いじりそのものさえまったく知らないずぶの素人でしょう。どこを訪ねても相手にされず、まったくの門前払いの状態が続きました。当然といえば当然のことなのですが、自分の甘さをいやというほど見せつけられましたね」。






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